「先生、僕の小指は曲がっているから...」
「そうね、確かにあなたの小指は 両手とも 薬指の方向に向かって、
少し曲がっているわね。
でも、だからといって、恥ずかしがることもないし、
何かを諦める必要は、今の時点では 何もないと思うわ。
あなたはまだ14歳。
まだ若いのだから、小指を使わないようにする という方向を考えるのではなく、
演奏に支障がでるような場合には、
左手の親指の位置や、手首、肘の位置なども考慮にいれつつ
左手全体が小指をサポートするようなかたちで
小指をうまく使えるようにすればいいわ。
必要があれば、セブシックなどをつかって、小指を少し鍛えてもいいし。
あなたの場合、今のところ、小指の機能の問題はないと思うけれど
高いポジションにいったときに、小指の音程が下がってしまうから
その点が気になるわ。
でも、それは、自分が思っているよりも少し高めにとるつもりで練習をすれば
落ち着くと思うから大丈夫。
ヴァイオリンを弾くために生まれてきたような、身体的に恵まれた人は
なかなかいないものよ。
みんな、いろいろ工夫をして上手に弾いているの。
先生ももちろんそのひとり。
だから、あなたも、小指のことで肩を落としたり、あまり気にしすぎたりせず
今まで通り、前向きにヴァイオリンに向き合いましょう。
曲がった小指をもったあなたがあなた。それもひとつの個性なの。
もし、自分で何か支障を感じるようだったら、いつでも相談してね。」