今日は、室内楽(弦楽四重奏)の3回目のコーチングでした。
みんながだいたい小学5年生くらいのグループです。
リハーサルはまだ自分たちでは無理で、また、共通の時間をみつけるのもとても大変なので、自分のパートは各自、自宅で練習をしていますが、週1回のコーチングが指導の場でもあり、リハーサルの場でもあります。
まず、ゆっくり(四分音符=80)くらいで一緒に弾き始めるところからはじまって、
今日は、四分音符=108 くらいで自分たちで音楽をすすめていけるようになってきました。
今日のコーチングでは、ダイナミクス(強弱)に関して、より注意を向けて、全体的を通して、フォルテのところ、ピアノのところ、それぞれ、聴いている人がわかるように演奏できるようにする、ということを課題としました。
そのプロセスのなかで、一緒に弾いている仲間(からでてくる音楽)を意識すること、アンサンブルをよりよいものにする ということも常に忘れません。
今日のコーチングで、とても興味深いことが起こりましたね。
1楽章、132小節目からです:
途中からばらばらになってしまいました。
「このような問題を防ぐためにはどうしたらよいでしょうか?
ファーストヴァイオリンとチェロ、ふたりだけでまず一緒に弾いてみましょう。」
♪ ♪ ♪ ♪
「そうです。ふたりとも一緒に弾けていますね。」
「ファーストヴァイオリンさん、さっき弾いたとき、チェロの8分音符は聞こえていましたか?」
「少しだけ...」
「どうですか、みんな。少しだけしか聴こえていなかったんですって。
それならどうしたら、もう少しファーストヴァイオリンはチェロの音が聞こえるようになるでしょうか?」
「はい!」
「チェロさん、どうそ。」
「僕がもっと大きく弾けばいい。」
「それもひとつの手ですね。ほかにアイディアはありますか?」
「はい!」
「セカンドヴァイオリンさん、どうぞ」
「ぼくがもう少し小さく弾いてもいいかも」
「それもとてもいいアイディアね。」
「ここのセクションで、16分音符を弾いている人は誰ですか?」
「はい!」
「そうです。セカンドヴァイオリンさんと、ヴィオラさん。2人が弾いていますね。
そして、セカンドヴァイオリンさんは、なんと、ダブルストップ(重音)です。
セカンドヴァイオリンさんは2人分弾いていると考えると、ヴィオラさんと、セカンドヴァイオリンさんふたりで3人分弾いていることになります。結構パワフルですね。
そして、ここでメロディーを弾いているのは誰ですか?」
「ファーストヴァイオリン!」
「そう。ということは聴衆はぜひそのメロディーを聴きたいと思っていると思いませんか? なので、ファーストヴァイオリンがチェロともしっかり一緒に弾くことができるように、セカンドヴァイオリンとヴィオラは大きく弾きすぎないようにしてみましょうか?
でもね、セカンドヴァイオリンも、ヴィオラも、実はとても大切な役割を担っているの。なんだと思う?」
「???」
「先生が、セカンドヴァイオリンのパートを弾いてみましょうか?」
♪ ♪ ♪ ♪
「???」
「とってもエキサイティングな感じがしない? ここで音楽のエネルギーを添えているのは、セカンドヴァイオリンとヴィオラなの。だから、音量を少しコントロールしなければならないというだけで、ふたりはとても大切な役割を担っているということことを決して忘れないでね。
では、このことを考えながら、132小節目から弾いてみましょう」
*マイクの位置の関係で、正面から聞いたバランスとは少し違っています...
「素晴らしい!とてもよくなりましたね!先生は鳥肌がたちましたよ!
これまでのコーチングを通して、今の演奏がみんなのベスト、とてもストリングカルテットらしい演奏でした!どうか今この瞬間に起こったことを忘れずに、次にもつなげましょうね!」
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One thought on “モーツァルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク1楽章 132小節目から最後まで”