私がはじめて演奏からくる身体の支障を体験したのは、在学中に、ブラームスの協奏曲を勉強している頃でした。左前腕の内側がひどく痛み、何をしてよいのか、まったくわかりませんでした。アイシングをしたり、友人、知人にすすめられて、マッサージ(といっても、いま振り返ると、筋肉の knot をとってくださるタイプのマッサージ)に行ってみたりして、何もわからないまま、混乱のなか、そのような期間を通り過ぎました。

プロのオーケストラでお仕事をさせていただくようになると、演奏会やリハーサルが毎日のように、ときに2時間半から5時間以上あった期間も多々あり、右ひじが腱鞘炎(=テニス肘)になってしまいました。この際には、周囲の先輩方の言葉により、痛み止めを服用しながら、アイシングをしたり、カイロプラクティックの先生にアラインメントを調整していただいたり、筋肉を伸ばしていただきながら、乗り越えるも、(今、振り返ると、痛み止めは飲まないほうがよかったとおもっていますので、おすすめしません!)同じ問題は再発。2度目は、学びを生かして、痛み止めを飲まないで、カイロに通いながら、根気よく治しました。

現在は、左親指、左手首に腱鞘炎を患っており、カイロの先生にお世話になりながら、自然治癒を待っている状態です。

英語では、演奏からくる怪我=performance injury という言葉はしばしば耳にしており、大学時代には、アレクサンダーテクニーク = Alexander tecnique や フェルデンクライス = Ferdenkrais に触れる機会があり、その都度、自分の身体の使い方について考える機会があり、大学院卒業後には、別のカレッジで、コンディショニング という、こちらも普段の生活のなかでの効率のよい使い方を考えるというクラスをとり、身体の動きについても興味をもっているので、私がヴァイオリンを指導する際には、身体全体の姿勢から、頭の位置、肩の位置、肘の位置、骨盤の様子、足の様子 などに加え、演奏中の筋肉の様子にも注意を払って教えています。

私の周囲ではそれほど多くはないようですが、実は多くの音楽家が身体の不調に悩んでいるようです。

今回、日本で整形外科を受診しましたが、ドクターは音楽家(私の場合は、ヴァイオリン)がどれほど同じ筋肉を酷使するのか、そして、演奏にはどのような動きが関わっていて、どのような部分に負担がかかりやすいのか、ということは、残念ながらあまりご存知ないようでしたし、音楽家の問題は、しばらく休みが取れたとしても、基本的には弾きつづける必要があることなのですが、弾きながら治す必要性 に対しても、あまり理解がないようでした。

そんなこともあり、インターネットで検索をしてみると、東京女子医科大学の整形外科で音楽家外来が2010年に日本ではじめて設立されたことを知りました。酒井直隆先生はそれより以前から音楽家の診療にあたっていたようで、アメリカでも勉強をされたようです。

私自身は、今回、こちらを訪れるに至りませんでしたが、東京近辺でお困りの方はこのようなところに相談されるのもよいかもしれません。なにかあったときに、すぐに頼れる先生がいるのは、とても心強いものです。

私も先生のことを覚えておきたいので、こちらにリンクを貼っておきますね。

2020年2月7日追記:

もうひとつパフォーニングアーツ医学の存在もみつけたので、リンクを貼り付けておきます。

音楽家外来|東京女子医科大学整形外科

【東京】日本初の「音楽家専門外来」開設までの紆余曲折-さかい整形外科院長・酒井直隆氏に聞く◆Vol.1|医療維新 – m3.comの医療コラム

 

パフォーミングアーツ医学(PAM)

 

音楽家医学のサイト:医療、音楽、運動学、生体工学などの多面的に取り組む医学サイト

 

局所性ジストニア,ジストニア,使い過ぎ症候群,腱鞘炎,音楽家の鍼治療【100年の歴史・鍼灸専門】東京都港区・音楽家の手の専門治療

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