今日は、とても久しぶりに恩師に会いにお宅まで伺いました。
先生は今年の7月をもって退官されたのです。
32年間、ずっと一生懸命、いろいろな学生たちを導き続け、大学にとってもすばらしい貢献をされていました。毎年、夏になると、イタリア、ブラジル、アメリカのほかの州 に行かれ、教えたり、演奏をしたり、本当にとても忙しく飛び回っておいでで、ときに私が空港までお送りすることもあり、先生のお忙しい様子をいつも拝見していました。
そんな先生が私が日本滞在中に:
「大学のオフィスにおいてあった本の数々も、私の自宅には入りきらないので、これらの本や楽譜の数々に興味を抱いてくれそうな あなたや、そしてほかの2,3人の学生たちに声をかけることにしました。ぜひ連絡してください。」
というメールをくださいましたので、
「先生は、私の音楽人生に一番影響を与えてくださった大切な人物です。ぜひ、お譲りいただければ幸いです!」
とお返事をしてありました。
今日、ご自宅を訪ねると、先生もしっかりとマスクをし、ドアを開けるもスクリーン越しに、迎えてくださいました。先生はこのパンデミックに非常に敏感になっておられるのです。
「久しぶりですね。元気でしたか?」
先生の髪はすっかりグレイになっていて、なんとなく少しだけお疲れのようにも見えました。
「まだまだいろいろと忙しくてね。。。」
お互いに近況報告をしあい、大きなコピー用紙の箱2箱いっぱいの(1箱は本、1箱は楽譜)本と楽譜をいただいて帰ってきました。
本は先生のお父様(ヴァイオリニスト)から来ているものもあるそうですし、楽譜のなかには「あなたが今後必要になるかもしれないものも入っていますよ」とのことでした。(なんだろう???)
なんとなく「高齢の母や障がいのある弟のことがあるので、日本に住むことになるかもしれません」というような話をすると「あなたはとても経験豊富ですから、どこへ行っても大丈夫ですよ」なんて言ってくださいました。そんなことを真に受けるほど私は若くありませんが、そんな風に声をかけていただけると、どうなろうが、神さまに導いていただき、私の歩むべき道をいこう という気持ちになれるものです。
先生との時間はいつもとても充実したすばらしい時間ばかりでした。ときに厳しく突き放されたこともありましたし、私自身も失礼ながら先生に反発したこともありました。それでも、大学に在籍する前から、そして、大学院を卒業してからも、先生とのお付き合いはずっと続いていて、もうそろそろ20年近くです。
いつも大学には先生がいて、私はヴァイオリンケースを背負って、先生に会いに行っていました。学生のときには週に数回会うこともありましたし、学校を終えてからも、年に1度か2度、リサイタルのたびに、大切な演奏の機会のたびに、先生に聴いていただいていました。
父が全く予期せず亡くなり、先生も退官され。。。もちろんいつかそうなるとわかっていたことですが、実際にそうなってみると、非常に感情が揺さぶられ、今もつい、このブログを書きながら、涙があふれてきてしまいます。時の流れを感じます。
私は先生にチョコレートのギフトをお持ちしました。ずっと前に私自身が生徒からいただいたことのあるもので、とてもおいしいかったのを今でも覚えていたので。それに、こちらのチョコレートは日本・北海道生まれですから。ロイズの生チョコレート シャンパン ”Champagne Pierre Mignon”。
先生は直接私の手から受け取ろうとせず、「そこにおいておいてくださいね」 と、ドアの外の箱のようなものにやさしく目配りしてくださいました。
「また機会があったら演奏されるのでしょう?」
「上手に弾こうと思ったら練習しないとね」と先生。
「先生、本を譲る相手として、私のことを考えてくださって、ありがとうございます。
練習をしたら、またお邪魔しますので、よろしくお願いしますね。さようなら」
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ロイズのチョコレート、今、調べてみて知ったのですが、やっぱりアメリカで買うと倍くらいのお値段になってしまうのですね。(驚)
今日は「ふたつ買うとひとつおまけがついてくる」というセール?をやっていたので、お店の方に上手に勧められて、ちょっとお財布の紐がゆるんでしまい、自分用にも生チョコレート ウイスキー ”Islay Whisky (Port Charlotte)”を買って、おまけにPrafeuille Chocolat Matcha をいただいてきました。なのでちょっとだけお買い得でした。
おいしいチョコレートをいただくのは久しぶり。
先生からいただいた 宝箱 の中身をじっくり確認するのと同様に楽しみです。
そして、この宝箱もまた別の形で、私の生徒たちに渡っていくことでしょう。
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One thought on “先生から私へ、そして 私から…”