ヴァイオリンにおけるオーケストラとソロ:弾き方や音の違いは?

「オーケストラに所属している際思うことです。 ソロの時の音とオーケストラで弾く時の音の使い分けというのはどのようにするものなのでしょうか。違いは何でしょうか。」

これはとても大切な知っておきたいことのひとつですよね。私は誰にも教えてもらうことができなかったため、痛い思いをしながら、自分で学びました。(笑)もちろん、違う意見をもつ方もいるとは思いますが、私の経験に基づいてだいたいのことをお話ししますね。

オーケストラのなかではセクションの1部であることをしっかり意識して

ご存知のとおり、オーケストラではひとつのパートをたくさんのヴァイオリン奏者で演奏します。ひとりひとりの奏者は、ファーストヴァイオリン、セカンドヴァイオリンというセクションのなかの1部となり、もっといえば、オーケストラという大きな楽器の1部となるわけです。

ですので、オーケストラのなかで演奏するときには、基本的には、周囲から聞こえてくる音、自分が属するセクションに溶け込むような音色を選び、とくにタイミングなどは、セクションのリーダーにあわせるようにします。

音色に関してもう少し具体的にお話しすると、たとえば、周囲がうすいオレンジ色の音色で弾いているのに、自分自身だけ、濃いオレンジの音色を使うと、突出してしまいますよね。下に並べたふたつの色をみていただけると、よくわかるかな、と思います。

うすいオレンジ

濃いオレンジ

タイミングに関しても、オーケストラの規模(セクションの人数)が大きくなればなるほど、後ろのほうで演奏する場合、前とかなり距離ができるので、油断をすると遅れて聴こえてしまう場合もあるので、要注意だったりしますので、セクションリーダーと指揮者から目を離せないことも。

音量に関しても、PPやPPPなどは、Tuttiの場合、ほとんど弾いていないくらい小さくしたりします。ソロでは絶対にしない業です。これをはじめて体験したときには、これいいの???!!!と思いましたが、いいんです。全体の一部ですから。(笑)

いつも細心の注意を払っての演奏になるので、私の場合は、かなり緊張を強いられることが多かったです。常に自分自身は全体の一部であるという意識をもって、正確に、足並みをそろえ、セクションに溶け込む美しい音で演奏ができなければなりません。

ソロの場合は自分の考えをしっかりと伝えよう

「ソロ」という表現のなかにも、いろいろなシチュエーションが想定できますが、あまり話が広がりすぎないように、例えば、ヴァイオリンひとつとピアノの伴奏 といった類の場合を例にとりますね。

このような場合には、基本的にはヴァイオリンがメロディーを奏でる場合が多く、そのパートを担っているのはひとりですので、ご自身で好きな音色を選び、音量においても、ピアノとのバランスを考えながらも、ご自身がよいと考える方向へ、ピアニストの協力のもと、もっていくことができます。タイミングも、ヴァイオリンがリードして決めてよい部分が多いですね。少しリズムを揺らしてもそう信じているのであれば、それもよし、となります。成功すればその演奏者の味が出てよいということになります。

ですので、自分が曲に対して考えることをしっかりとパートナー(ピアニスト)や聴衆に伝えることが大切です。

ソロの場合には、しっかりと楽器を鳴らす状態を保ちながら演奏することができます。しっかりとした芯のある太い音を選んでも、音量が多少大きくなっても、問題ありません。逆に小さすぎると、それをサポートするピアニストにとってもとても大変なので、よろしくない場合も多いくらいです。

もちろん、オーケストラのなかで演奏する際にも、このような音を求められる場合もありますが、それでも、周囲にしっかりと溶け込めるような音色や音量を保ちながらの演奏になるということに変わりはありません。

私には理解するのに時間がかかりましたが、しっかり楽器を鳴らすことの本質を理解し、それができるようになると、オーケストラのなかで演奏する際にも、周囲に溶け込む音色や音量を保ちながらも、楽器を鳴らしながら、演奏できるようになります。

簡単にまとめてみると

オーケストラで弾く場合ソロで弾く場合
周囲に溶け込める音色。
突出してしまいそうな「立ちすぎた音」は控えた方が無難。
自分自身で決定できる。
音量基本的にはやや小さめのほうが安全。そのほうが周囲に注意を向けやすいから。バランスへの配慮は必要だが、基本的には自分自身で決定できる。
音量が大きくなってもあまり問題にはならない。
タイミングセクションリーダーにあわせる。(指揮者もみながら)基本的には自分の信じるタイミングを伝えられればOK (ただ、ピアノパートの都合もあるので、本当はその辺もきちんと考慮すべき)

とても導入的な説明ですが、参考になれば幸いです!

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