ヴァイオリン奏者の手の問題: 過度可動性 (Hypermobility)

私は学生の頃から、演奏のよる怪我(performance injury) を経験し、その後、両肘のテニス肘、そして、昨年11月(約6.5ヶ月前)に 左手親指の腱鞘炎 (ドケルバン症候群) を発症し、まだ完治はせずの状態です。

数日前に、たまたまメンバーになっている アメリカ弦楽器指導者協会 の 出版物 に目を通していると、ある記事 (American String Teacher vol.70, no.2, May 2020, pp.35-38 ) に目に留まりました。Playing and Teaching with Double Joints by A.D. Peterson 

(ダブルジョイントの人のための演奏と指導)です。

 

ダブルジョイントは存在しない—それは過度可動性のこと

私のカイロの先生によると、そして、Peterson先生も書いてらっしゃいますが、実は、ダブルジョイント、つまり、関節がふたつ、という事実はは存在しません。関節がとても柔らかい、そして、可動性が過度になってしまう場合、可動域が大きくなるため、まるで関節が2つあるかのようだ という印象をもたれやすく、ダブルジョイントと表現されるようになったようです。

今回、Peterson先生の記事には、写真入りで説明してあり、はじめて、ダブルジョイント、過度可動性 ということがどういうことなのかを知り、また、自分自身が該当するということを知りました。以下は私の左手、右手の写真です。

 

過度可動性の例

1.左手親指付け根の関節に過度可動性がある状態

右手は普通です、といって、比較の写真を載せたいところなのですが、私の右手親指付け根の関節も同じ状態です。 

親指の過度可動性, hypermobility on left thumb (metacarpophalangeal thumb joint)

2.左手親指の付け根の関節に過度可動性がある状態

左親指の過度可動性, hypermonility of interphalangeal thumb joint 

3.右手親指

2番目の写真と比較するため、載せています。

この関節は普通の状態なので、左手の親指ほど曲げることができず、ここまでが限界です。

右手親指

私は左手小指の付け根の関節にも過度可動性がみつかりました。

そちらはまた写真をとってから載せようと思います。

 

私の子供の頃の記憶からすると、たぶん、日本人には多々みられるのではないかという気がします。過度可動性そのものは問題はありません。問題は痛みがある、痛みがでる場合です。

 

気をつけたい3つのこと

子供の頃、若い方は痛みとは無縁だと思うので、将来問題がでないように、以下のことを頭の片隅においておくことも大切です。

1.関節をポキポキ鳴らしたり、「私はこんなことができるの!」などと、過度可動性をみせびらかさないこと。

2.足裏のアーチをきちんと保つ靴を選ぶこと、ひざに過度可動性がある人は、ひざを少しゆるめて(まげて)立つこと。

3.脚を組んで座らないこと(たぶん、骨盤のゆがみもよくないためだと私は捉えています。)

 

でも、それでは不充分! 

私自身、ヴァイオリンを弾き、教えるものとして、そして、現在、腱鞘炎の問題を抱えるものとしては、これらの提案だけでは不十分です。

最近、カイロの先生から、あたらしいアプローチを教えていただいたので、その実験の経過や考えたことなど、また記事にしていこうと思います。

 

問題をお持ちのかた、ぜひ一緒に道を探しましょう!

 

私の生徒たちにもHypermobilityのものがいます

その後、私は再び、親指の痛みと向きあっています。やはりヴァイオリンを弾いているときに、親指をそらして使ってしまうことがよくあるのだと感じます。ただ、以前とは違う親指の使い方もしているので、以前ほど悪くなることはなくなってきています。

私の生徒たちにも同じような関節のものがいます。高校生くらいの生徒であれば、私がもともとそのようなことも含めて指導をするため、身体の使い方に関して、とてもオープンマインドです。怖がらせることなく、ただ、可能性として、私が向き合っている問題を伝え、そうならないようにするには、ということを一緒に考えたりします。

8歳の女子生徒は、腰もとても反ってしまいます。今の彼女はまだまだ身体の使い方まで気持ちが回りませんが、ときどき、姿勢について、左親指、右親指などの位置や関節の状態を気をつけてみてあげるようにしています。

(この段落は2,021年11月10日に追記しました)

 

よろしければ、こちらもどうぞ:ヴァイオリンと腱鞘炎

 

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5 thoughts on “ヴァイオリン奏者の手の問題: 過度可動性 (Hypermobility)

  1. 腱鞘炎大変ですね。腱鞘炎の原因はover useとmis useがあり、前者なら休めていれば治りますが後者は使い方を直さなければならないので厄介です。東洋医学で「経」と言う考え方があり系統みたいなものですが、例えば指は指だけで動かすのではなく、指を動かす系統の中で不具合が起これば系統の何処かに問題が生じると言う考え方です。身体が動く時は必ず協調して動きますが、身体の何処かで協調が乱れる事があります。misuse はそれを探さなくてはなりません。政治でも経済でも表面に現れている事象は、往々にして裏で指図している者によるところ大きいです。現れた現象に惑わされず、あえて指以外の裏で悪さをしている所を探し当てましょう。

  2. すばらしいコメントをありがとうございます。
    ここのところ、自分の身体の使い方を見直しながら楽器に向き合っています。そして、気づいたのが、身体を締めて使う傾向にある ということです。過度可動性により、それを支える筋力も必要なのにもかかわらず、それは衰えてきているという状況なのかもしれません。今、テーピングを試してみています。また今後ともいろいろなアドバイス、よろしくお願いいたします。

  3. 身体を締めて使う傾向に気付いているにもかかわらず、筋力やテーピングでまだ身体を締め付けると言う事は、ご自分の感覚よりも人に指摘された過度可動性を優先されているのですね。
    以前コメントさせて頂いた記事にあった写真で小指は相当締めていましたよ。

  4. 古武術稽古さま、
    再びのコメント、ありがとうございます!もし、お手数でなければどの記事のことか、お伝えいただけますと幸いです。
    おっしゃること、そうなのかもしれません。。。けれども、今の段階では、左手小指に関してのテーピングは、それによりサポートされて、弾き終わったあとの痛みが軽減されているような「気がする」のです。
    最近感じられたのは、私は両肘の腱鞘炎(テニス肘)に関して肘のあたり(筋肉の端というか、腱というか??)を締めているかも、ということです。締める感覚は、左肩にも感じることができるようになってきました。少し身体を開いて、楽器を少し遠くから包むような感覚でいるといいのかもしれない、などと考えたりもして、試していますが、目の前にある楽譜や音を奏でるということ、表現をしようとしたりすると、気持ちがそこから離れて、以前の楽器へのアプローチに戻ってしまっていると思います。これは、本当に気が遠くなるような調整に感じられます。でも、少しずつ、やってみています。
    繰り返しになりますが、左手小指に関しては、テーピングのサポートがあるとなんだか「楽」な気がしてしまうのです。おっしゃるとおり、単なる幻想かもしれませんが。
    また、写真のご指摘や、アドバイスをいただけましたら幸いです。

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