どの版を使う??:クロイツェル 「ヴァイオリンのための42の練習曲」
まず、カイザー 「36の練習曲」 そして ドント 「24の練習曲:クロイツェルとローデへの準備」作品37 を終えた私の生徒たちは、いよいよ というか やっと(笑)クロイツェル 「ヴァイオリンのための42の練習曲」に入ります。
私の先生は、ガラミアン先生とも勉強されたこともあるので、私は教えるときにはガラミアン版を使っています。
(自分自身は、クロイツェルの最後のほうで、先生を変ったこともあり、そのまま日本の版を使って終えました。)
ガラミアン先生の指使いは難しい という声も聞いたことがありますが、若いうちは、いろいろなことに触れたほうがよいですし、やさしく変えるのはある意味、いつでも、誰にでも、できるので、「現在は」この版を使っています。
フレーズをみつけて形作ることをはじめましょう
この頃から、バッハの無伴奏作品を念頭に、生徒たちには、フレーズをみつけ、それを形作る という作業をしてもらいます。(もちろん、これより以前にも練習曲をつかって、生徒たちの能力によってはフレーズや強弱などの勉強も加えます。)
これまで、ウォールファールト、カイザー、ドントなど のエチュードに加え、たくさんの学生のためのすばらしい曲の数々に触れてもらいながら、すでに、フレーズという概念や、それを形作ることの大切さ、そして、どのように形作るのか、ということを学んできてもらっているので、クロイツェルに到達する頃には、すでに、多くの音楽的なインプットが生徒のなかに蓄積されています。
最近、モーツアルトの協奏曲3番を学ぶ生徒が、クロイツェルに入り、2番のフレーズに関して、とてもいいアイディアを分かち合ってくれました。彼女のなかにしっかり私の指導が伝わって、蓄積して、それをアウトプットできるようになってきたことを強く感じ、とてもうれしく思いました。
これは、自分自身もそうだったのですが、最初のうちは、フレーズのとり方がとても小さくなりがちです。けれども、生徒にみつけさせる、決めさせるという経験を積むことで、フレーズを 小さくも、そして、大きくもとることができるようになります。
ボウイング・ヴァリエーション
また、クロイツェル2番にでてくる、さまざまなボウイングの練習も、それまではこれほどまでのヴァリエーションに出会わないことから、生徒たちはみな、最初とても驚きますが、とてもよい訓練になります。
私がクロイツェル、フィオリロなどを学んだ頃には、ひとつのボウイングで、1曲全部を弾かなければならず、苦痛でしたので(笑)、とくに音楽の道へ進む希望のない生徒たちには、1曲を 例えば、A,B,Cなどと 2つから3つのセクションに区切り、1のボウイングでAセクションをしたら、2のボウイングでBのセクション、3のボウイングでCのセクション、という感じで、全曲に触れながら、すべてのボウイングを体験してもらうようにしています。66種類のボウイングと15種類のリズムヴァリエーションがあるので、それでも、相当なボリュームです。
もちろん、このような作業だけをしていると飽きてしまうので、この2番をしながら、1番、3番、4番…と併用したり、生徒によっては、2番と15番(トリルのセクションがここからはじまりますし、もっと後には、重音もでてきます。)などと、違うテクニックのものを少しづつ与えたり、とさまざまです。
ボウイングの練習:その他の教材
ボウイングの練習といえば、私自身は Sevcik 60 variations をも使いました。
また、別の先生には Tartini The Art of Bowing for the violin を薦められたことがあります。
良薬、口に苦し
クロイツェルには、ありがたいことに、このようなヴァリエーションがたくさんでてくるので、上手に使いたいですね。
良薬、口に苦し。(笑)
大変だけれど、血となり、肉となるのは間違いありません。
挫折しないように、温かい言葉をかけながら、生徒たちとがんばっています。
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